次世代スーパーコンピュータと基礎研究。
なんとなく、ホリエモンのBlogを読んでたら、こんなエントリーを見つけた。一応、野党の自民党の参議院議員によるエントリーらしい。
国家戦略なき政権は国益を損する。:
http://blog.livedoor.jp/t_ichiro01/archives/51541431.html
理化学研究所の野依さんの講演を引用した上で、
ノーベル化学賞受賞者である野依先生の話は実に説得力があります。
…とのこと。
あー、「ノーベル化学賞」を受賞したら、無条件に発言に説得力が増すのだろうか…という突っ込みはさておいて(汗)野依さんが理化学研究所の理事長であることはやっぱり踏まえなきゃいけない気がするんだけど、与党のやることなすことを批判したくてしょうがない野党の人たちが、思考停止してネタに使ってるだけという印象が強いなぁ…。
とりあえず、私はスーパーコンピュータを使うような研究開発をやったことがないので、さっぱりわからない門外漢であることを踏まえてもらって、野依さんの発言を引っ張ってみると、
次世代スーパーコンピューターは科学技術の頭脳であり常に(一位を目指して)勝ち続けなければならない。外国から買えばいいとの発想は不見識極まりない。
との発言は、なぜそうなるのかよくわからない。
まず、スーパーコンピューターで勝ちつづけなくてはいけないと言っているが、スーパーコンピューターで日本が1位だったことって、そうないような気がするんだけど、それだけで日本の科学技術の敗北としてしまっていいのかという気がするし、仮に負けているとしても、その原因がスーパーコンピューターの性能競争の敗北であるというだけでは説明しきれない気がする。
…で。
ふと、東京工業大学が作ったPCクラスタのTSUBAMEと、地球シミュレータのことを思い出した。
どうやらスーパーコンピュータというものは、計算する対象によって最適化されているようで端的な計算能力だけで比較してもナンセンスかもしれないのだが、とりあえず、Wikipediaの地球シミュレータのページにはこんなことが書いてあった(…ま、Wikipediaの信憑性ってどうなんだっけって議論もあるけれど…)
2006年から運用されている米AMD社製Opteronプロセッサを用いた東京工業大学のPCクラスタTSUBAMEでは、単純にLINPACK性能のみで比較すると導入費用20分の1、電気代5分の1、計算速度1.6倍となる。
TSUBAMEは、AMDのプロセッサを使ったSunのサーバを並列化したもので、言うなれば、外国製の汎用品を集めて作ったモノで、一方の地球シミュレータはNEC製のプロセッサで、NEC製のOSが動いてる、国産の正当派スーパーコンピュータといった感じだろうか。素人的には、きっと野依さんが求めているのは後者なんだろうなと思う。
導入費用が20倍かかって、電気代が5倍(…電気代はささいな問題なのかも…)もかかるのに、外国産の汎用品の組み合わせに計算速度で勝てない、国産の正当派スーパーコンピュータの存在価値はどう説明するのだろうか。また、なぜ、国産である必要があるんだろうか。
…いやいや。
ぼんやりと考えているうちに、野依さんが守ろうとしているものの本質は、次世代スーパーコンピュータではないのではないかという気がしてきた。例えば、次世代スーパーコンピュータ向けの予算を削減するのに成功した財務省が何をするかというと、同じ論理(=多額の国家予算をつっこんでるのに、パフォーマンスが目に見えないから、予算縮小。という論理)をもって、理化学研究所が得意とするような基礎研究の予算を削ろうとするのではないか。
野依さんは、そういった財務省の動きを警戒して、「次世代スーパーコンピュータ」を巡る攻防(*)辺りで、日本の基礎研究を守るためのファイヤーウォールを置こうとしてしてたりしないだろうか。
(*)今回、たまたま「次世代スーパーコンピュータ」がやり玉にあがっただけの話で、「次世代スーパーコンピュータ」に、それを「日本の基礎研究」と読み替えられるようなシンボリックな意味を見いだしたとしたら、「国産」にこだわるのもどことなくわかるような気がしないでもない。例えば、上で引用した野依さんの発言の「次世代スーパーコンピューター」を「基礎研究」もしくは「日本の基礎研究」と置き換えても成立しそうな気がするし。
この議論、単に高性能なコンピュータをどう調達するかということにとどまらないのかもしれないなぁ…と遠い目(汗)